輪廻
何度も綴った。
月をみながら。
私のママは、どこにいるの?
教えて下さい。

知ってたから。
子供の時からいつも、思った。

一枚の写真を見た時、確信したんだ。
男の子と、パパの写真。

ママと私は、そこには居なかった。

私はずっと不思議に思った。
幼い時の記憶がなく、怖かった。
だけど、その一枚の写真から気付いたからスッキリしたんだ。

私の母親は、母親じゃなかった。

ベンチに、座っている写真の男の子がきっと私の父親との子供だと。

私にはきょうだいがいるんだ。
そして、きっと私が幼い時の記憶がないのも、父親との時間も殆どなかったから。
気まぐれな父親は、この男の子と私の間を行ったり来たりしていたのだろう。

良く解らない女の人と生活を共にし、『ママですよ』って云われた時は驚いた。
それから良く解らない間に家庭が出来上がってた。

私はもっと知りたくなって、気になって沢山探した。

するとタンスの奥に、『天成へ』と父親の文字で描かれていた手紙を発見した。

私は、天成君を呼んだ。
リンリンと鳴きながら。
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