輪廻
てのひらを太陽とかって歌を思い出しながら、スキップして歩いて、自分で愉快なフリをしたらいきなり憂鬱になった。

立ち止まって、ボンヤリと考えて居たんだ。
僕の父は、何時の間にかどこか遠くへ翼を広げ、羽ばたいた。

当時優秀だった僕は、航空会社に勤務していた父を持っていたから、必然的に僕は、飛行機に関する事は詳しくなっていった。

そして。
母親が、一人ぼっちになったと同時に僕も一人ぼっちになった。

友達は籠の中。
リンリンと愉しそうで、可愛いらしい声で鳴いていた。

僕は誰にも触れさせたくなかった。
僕だけには呼び掛けてくれる気がした。

真夜中の公園は、音がうるさくて好き。

僕の部屋から、母親が何もかもを棄てて、自ら選んだ道。

クラシックのCDだけが残る。
無音が嫌いだから、どうしても鳴らして、だけれどブッ壊した。

どうして?
どうして僕が転落した?
何故、一瞬で脆く崩れてゆくのだろう。
飛行機墜落事故の映像を見ながら、その機体は生き物に見えた。
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