輪廻
周りに貧乏だと言われ、名前も呼ばれない。
僕は天成と書いて、てんせい。

何故そんな名前を付けたのか。
在り来たりなんだ。

天才に成る。

父の理想像なんて、もうどうでも良い筈。
なのにやはり、叩き込まれた知識や自分自身の性格とゆうのは、環境は大きく重要なのだと思い知らされる。
父が居ない今でさえ、父は嫌いでも、空や宇宙に興味を持ってる自分に嘘はつけない。

僕は、ワザとらしくボロボロのシャツのまんま、外をフラついてみた時を懐かしく想う。
今現実化されるなんてその当時は想像もしていなかったのだから。

母親が良く僕の髪型に対して文句を言うのが気に要らない。
まるで女の子みたいだと、髪にハサミを入れようとする行動が嫌でたまらない。

僕は、このまんま、石になりたい。
誰かにこんな形でねじ伏せられるのならば、石になりたいんだよ。

公園まで、歩いた。
ふとベンチに座ったら、誰かの書いたものを見つけた。
メモ帳のような紙を破いて、置き忘れたみたいなものだった。
僕はその、グシャッと丸まった紙を広げて、少し躊躇いながら見た。

『わたしは、りんね。りんりんと泣くのは虫のこえ。えんえんと鳴くように、炎々と燃えたい。』

未だ幼い字だった。
鼓動が荒ぶり、僕の身体に何かが起きた。
生暖かいベンチを感じ、慌てて後ろを振り返った。

鈴のついた赤色のランドセルが、リンリンと鳴り響いて、トボトボと歩く女の子を見つけたんだ。

…きみが………

──りんね?
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