不機嫌なアルバトロス
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「花音、ランチいこっ」
「ごめん」
勢い良く立ち上がった憲子が、がくっと肩を落とした。
「なんで?!」
私は無言で自分の胸を指差した。
「?何?自慢?」
憲子が怪訝な顔をするので、苦笑する。
「違う。社員証。」
憲子はそこでやっと合点のいった顔をした。
「あぁ、そういえば、ないね?どーしたの?」
「今朝、駅から会社に来るまでに人にぶつかっちゃってさぁ。バッグひっくり返しちゃったの」
「まさか、そこに?」
「わかんない。でも、ないんだよね。駅に届いてるといんだけど。っていうわけで、探しにいくから、今日ランチはパス。ごめんね。」
手と手を合わせて、パンと鳴らした。