不機嫌なアルバトロス




========================


頭が痛い。


薄く開けた目に、無機質な蛍光灯の光が眩しい。



どうも、寝かされているようだということに気付く。



靄がかかっているように、ぼんやりとした意識の中で、私は起き上がろうと試みるが、全く力が入らなかった。


それどころか、身体中が自分のものではないかのように感じる。





「気がついた?」




そこに、さっきまで聞いていた声が響く。



心配そうに私を覗き込んでいるのは、タカだった。




とりあえず頷き、コンクリート打ちっぱなしの部屋に、自分が居るんだなと把握する。





「良かった」



ギシ、という音と共に、私の寝かされている所が僅かに揺れる。



どうやら、タカが座ったらしい。


「…ほんと、ごめん。かなり強い酒を、葉月が入れたみたいで…あんなこと、する奴じゃないんだけど…」



ぼやぼやとした意識の中で、タカが謝った。



でも、私の気分はまだすこぶる悪くて。


タカには申し訳ないけど、瞼が下がってきてしまう。




「…まだ、ツライよな。なんか、欲しいものとかある?」




そんな私に気付いて、心配そうに訊ねるタカに、



「み…ず…」



嗄れた声で呟く。



なんだか、すごく喉が渇いている。




「水ね!ちょっと待ってて」




直ぐに返事が返ってきたと思ったら、下がふわっと動いて、タカが立ち上がったんだとわかった。



それからほんの少し、目を閉じている間に、タカは戻ってきていた。




「カノンちゃん?水持って来たよ、飲める?」




その呼びかけに、閉じた目を薄らと開ける。




飲みたい。


けど。



身体が、起き上がれない。



ぐらぐら、する。



< 394 / 477 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop