不機嫌なアルバトロス
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頭が痛い。
薄く開けた目に、無機質な蛍光灯の光が眩しい。
どうも、寝かされているようだということに気付く。
靄がかかっているように、ぼんやりとした意識の中で、私は起き上がろうと試みるが、全く力が入らなかった。
それどころか、身体中が自分のものではないかのように感じる。
「気がついた?」
そこに、さっきまで聞いていた声が響く。
心配そうに私を覗き込んでいるのは、タカだった。
とりあえず頷き、コンクリート打ちっぱなしの部屋に、自分が居るんだなと把握する。
「良かった」
ギシ、という音と共に、私の寝かされている所が僅かに揺れる。
どうやら、タカが座ったらしい。
「…ほんと、ごめん。かなり強い酒を、葉月が入れたみたいで…あんなこと、する奴じゃないんだけど…」
ぼやぼやとした意識の中で、タカが謝った。
でも、私の気分はまだすこぶる悪くて。
タカには申し訳ないけど、瞼が下がってきてしまう。
「…まだ、ツライよな。なんか、欲しいものとかある?」
そんな私に気付いて、心配そうに訊ねるタカに、
「み…ず…」
嗄れた声で呟く。
なんだか、すごく喉が渇いている。
「水ね!ちょっと待ってて」
直ぐに返事が返ってきたと思ったら、下がふわっと動いて、タカが立ち上がったんだとわかった。
それからほんの少し、目を閉じている間に、タカは戻ってきていた。
「カノンちゃん?水持って来たよ、飲める?」
その呼びかけに、閉じた目を薄らと開ける。
飲みたい。
けど。
身体が、起き上がれない。
ぐらぐら、する。