不機嫌なアルバトロス
「……はは」
呼び出し音は、聞こえる筈もなく。
使われていない電話番号だと、無機質な女の人の声だけが流れた。
「そうだった…」
中堀さんは、詐欺師だから。
ひと仕事終えた後で。
この番号が繋がるわけがなかった。
ぷっつりと切れた線が、はっきりと見えた気がした。
ただ、番号が、使われていないと言うだけだけど。
この街に居れば、偶然が私たちをまた逢わせてくれるだろうか?
そこまで考えて、思考回路が真っ白になった。
電話は繋がらない。
じゃあ。
家は?
あれ。
中堀さんて、この街に、居るの、かな?
当たり前に居ると思い込んでいたけれど。
もしかして―
慌てて私はコートを羽織り、バッグを掴んで家を出た。
手が震えて施錠に時間がかかる。
落ち着け。
落ち着くのよ、花音。
自分自身に言い聞かせた。
志織さんはイギリスにいっちゃったんだから、中堀さんが動く必要はない筈よ。
それに動くって言ったって、こんなに早くは居なくならない筈。
クラブの仕事だってあるんだろうし…。
脳は合理的に様々な解釈をして、私を落ち着かせようとする。
だけど、冷や汗が止まらない。
漸く鍵を閉めると、一段抜かしでアパートの階段を駆け下りて走った。
少し前まで満月だった月は、今夜欠け始めている。
私は無我夢中で大通りまで走り、タクシーを捕まえた。
「あっのっ…中央駅のっ近くの、、背の高いマンションまでっ」
息切れしている私を怪訝な顔で見るものの、深く追求することもなく、無愛想な運転手は頷き、車を発進させた。
呼び出し音は、聞こえる筈もなく。
使われていない電話番号だと、無機質な女の人の声だけが流れた。
「そうだった…」
中堀さんは、詐欺師だから。
ひと仕事終えた後で。
この番号が繋がるわけがなかった。
ぷっつりと切れた線が、はっきりと見えた気がした。
ただ、番号が、使われていないと言うだけだけど。
この街に居れば、偶然が私たちをまた逢わせてくれるだろうか?
そこまで考えて、思考回路が真っ白になった。
電話は繋がらない。
じゃあ。
家は?
あれ。
中堀さんて、この街に、居るの、かな?
当たり前に居ると思い込んでいたけれど。
もしかして―
慌てて私はコートを羽織り、バッグを掴んで家を出た。
手が震えて施錠に時間がかかる。
落ち着け。
落ち着くのよ、花音。
自分自身に言い聞かせた。
志織さんはイギリスにいっちゃったんだから、中堀さんが動く必要はない筈よ。
それに動くって言ったって、こんなに早くは居なくならない筈。
クラブの仕事だってあるんだろうし…。
脳は合理的に様々な解釈をして、私を落ち着かせようとする。
だけど、冷や汗が止まらない。
漸く鍵を閉めると、一段抜かしでアパートの階段を駆け下りて走った。
少し前まで満月だった月は、今夜欠け始めている。
私は無我夢中で大通りまで走り、タクシーを捕まえた。
「あっのっ…中央駅のっ近くの、、背の高いマンションまでっ」
息切れしている私を怪訝な顔で見るものの、深く追求することもなく、無愛想な運転手は頷き、車を発進させた。