不機嫌なアルバトロス
「…おまけ?」



繰り返して、私は首を傾げる。



「そ。おまけって、なくてもいいけど、あったら嬉しいでしょ?そんな感じで、聞いてて。」



一体これから何が話されるというのか、皆目見当がつかない。




燈真は自分の家のように、寛ぎきっている。





「20年位前。ある街のゴミ捨て場に、幼い男の子が、血だらけで立っていました。」




慣れた手つきで煙草に火を着けながら、燈真は絵本でも読んでいるかのように話し出す。




「通りがかった人の通報で保護された男の子は、なんとこの世に存在していませんでした。」




灰色の煙が宙に漂い、煙草の匂いが嗅覚を刺激する。




「名前も、なかったのです。」




燈真はどこか遠くを見るような目つきで、私の反応を気にすることなく続ける。




「身体中痣だらけ、煙草を押し付けられた痕、目は腫れて、標準からかけ離れた体重。彼は母親と、そしてその恋人からネグレクトと暴力を受けていました。皮肉にも―」




ここで、話し始めてから初めて、燈真は私をちらっと見た。





「その母親は、彼が保護された日に、恋人の男の手で殺されました。」






合って、直ぐに逸らされた視線。




自分の中の予想が、確信に変わる。





これは―


この話は、、もしかして―

< 437 / 477 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop