不機嫌なアルバトロス
「彼は真実を知ることのないまま、施設の職員の養子となって名前ももらって、それなりに成長していきました。それでも、どこからでも情報は漏れてしまうもので―大きくなった頃、彼の出生の秘密は再度影を表わします。」




馬鹿丁寧な言葉遣いが、やけに鼻に付く。



何故だか無償に泣きたいような、怒り出したいような気持ちになった。




「高校生の頃、彼は真実を知りました。そして、自分の居場所が表舞台にないことを悟ります。どうせつまらない世界だから、生きていても生きていなくても、彼自身にとってはどうでも良いことなので、かなり荒れた日々を送ります。」




ここで、燈真は人差し指をピンと立てて、私に見せる。




「それを見かねた友人が、ある提案をしました。『母親に復讐しないのか?』と。」




外は風が出てきたらしい。


ガタガタと、ガラスが音を立てた。




「生まれてきたこと自体を恨んでいる彼は、母親のせいで世界からも受け入れられないでいる。復讐する権利は十分にありました。けれど彼はこう言います。『できるわけがない』ってね。」




燈真の煙草が、大分短くなっている。




「ところが、方法はある。母親を裏切ることができる上に、金にも困らない方法がね―」





「まさか…」




今まで黙っていた私だが、声を出さずには居られなかった。


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