一つ屋根の下


大陽は蒼空と同じクラスで、一緒に学級委員もやっていた。

入学したばかりのころは一匹狼であんまり笑わない人だと思っていたけど、仲良くなるにつれて優しくて照れ屋な大陽のことが大好きになっていった。

普段女子とはあまり話さない大陽が蒼空にはよく笑うので周りにも冷やかされ、気付かないうちに調子に乗っていたからか、あまりにもあっさり振られたダメージは言い表せない程大きい。


蒼空はプールの扉の前で、一度だけ振り返った。

まっさきに目に入るのは、サッカー部の中心で指示を出す、大陽。

誰よりも早く見つけてしまうのが中心にいるからじゃないことなんて、蒼空にもわかりきっている。

蒼空はまた滲みそうになった涙を封じるかのように、大陽に背中を向けた。
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