一つ屋根の下

「ごめん懸吾、やっぱ帰るね」

蒼空は懸吾にそう告げるとプールを後にした。

何も見ないように、聞かないように、名前も知らない曲の鼻歌を歌う。

今日は、新しいお母さんに会わないといけないから、いつまでもぐだぐだしていられない。

自転車の鍵を差し込み、濡れた髪を結んでいると、

「蒼空!」

と後ろから声が飛んできた。

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