薄紅
白いワイシャツと紺色のチェック柄の

ネクタイが見えた。

……いつも人なんていないのに。珍しい。

そう思いつつ、本に目を戻す。

少し気まずさを感じながらも

本を読み続けていると、

フッと視界の端で何かが動いた。

……動いたというより、

落ちたような感じで。

続いて、ドサッと言う音が聞こえた。

まさかね……と思いつつも、本棚の陰から

そっと通路を覗いて、

私は思わず甲高い悲鳴をあげた。
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