守ってダーリン!
(ごめんなさい・・・。)


彼の背中を見つめる。

そこにある傷痕に胸を痛めながら、同時に、違う痛みが私の胸にズキンと走った。

看護師さんの消毒を受ける市谷さん。

その彼の横顔が、なんだかとても明るくて、私の心には、もやもやとした影がかかった。

看護師さんは、20代半ばくらいだろうか、かわいらしい雰囲気で、テキパキと処置を行っている。

手を動かしながら、いろいろと市谷さんに話しかけているその姿は、なんだかとても楽しそうで、私の心はざわざわと騒いだ。

そして、看護師さんに相槌を打つ、時折見える彼の笑顔。

楽しそうな声が漏れ聞こえ、私はドアから一歩下がった。


(・・・元気ないなんて・・・そんなこと、ないじゃない・・・。)


来た道を戻ろうと踵を返すと、ちょうど、隣の病室から出てきた春山さんとぶつかりそうになってしまった。

「あ!すみません・・・。」

「いえ、こちらこそ・・・ていうか、入らないの?」

そのまま立ち去ろうとする私に、春山さんは不思議そうな顔をする。

「はい・・・忙しそうだから・・・。また来ます。」

そう言って廊下を早足で通り過ぎると、エレベーターホールにある長椅子にペタンと座った。


(・・・楽しそうだったな。)
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