いろはにほへと
遠くて、手を伸ばしても掴めない。


だから、なんだ、と訊かれても、私には答えが無い。


もし、掴めたとしたら、一体私はどうするんだろう。





会ったら終わると思っていた、トモハルへの想い。


胸の痛み。


心臓の動きの大きさ。


脈の速さ。


浅い呼吸。



再会さえすれば、それら全てが、正常に機能するんだと信じて疑わなかった。



するはずじゃなかった、恋。


持つべきじゃない、恋心。


伝えるつもりもない、想い。


終わらせたいのに、考えとは裏腹に、募っていくばかりのような気がする。




さよならをすれば、すっきりするかと思っていたのに、さよならさえも、したくないと自分の思考が唆すようで、わけがわからない。



パニックになっている、と自覚している。


ここまで自分の思い通りにならない状態を、経験したことがないからだ。




「はい、ひなのっ、プリッツ!」



悶々としながら、車窓から見える風景に目をやっていると、上からにゅっとお菓子が差し出される。




「・・・・・」



「え、何、その目。。。まだ怒ってるの…?」





再び小さく溜め息を吐いて見れば、何かを察したトモハルの顔が引き攣った。

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