いろはにほへと
「まこちゃん…なんか、ひなのが怒ってる…」
私が受け取らないままのプリッツ片手に、トモハルが振り返って早川さんにSOSを出した。
「俺が良い案出してやる。黙って静かに席に座ってなさい。」
「っっっ!」
ナイスな早川さんの提案に、トモハルが言葉を失った。
手からぽろりとプリッツが落ちる。
「俺のせい??俺のせいなの?ねぇ、まこちゃん。ちゃんと答えて。」
トモハルがしゅーんと席に座ったせいで、彼の姿は見えないものの、囁くような問いかけが聞こえてくる。
私は、もう一度深い溜め息を吐くと、床に落ちたプリッツを拾って、鞄の中に入っていたコンビニの袋にとりあえず入れた。
そうして、再び車窓からの眺めを目で追う。
―お父さんは、一体何て言うだろう。
テレビにも芸能にも薄い父は、トモハル達に何て言うだろう。
ふと、そんな疑問が頭を過ぎった。