いろはにほへと
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「…お話は、よくわかりました。」




家の居間には、ローテーブルとソファがある。


ダイニングキッチンには、テーブルと椅子がある。



今、一家の主は、ソファに座って、大人の男二人と向かい合わせになっている。



ダイニングキッチンの椅子には、母と私が座って事の成り行きを見つめていた。




完全に取り乱した母に対し、父は冷静だった。



近所迷惑にならないよう配慮し、「とりあえず中に入りなさい」と私達に、いや早川さんとトモハルに促した。



招かれ、事情を話し出したそれぞれの目の前には、お客さん用の茶碗に入った緑茶が置かれている。


父の前には使い慣れた専用の湯呑みが用意されていた。



一通り早川さんの話が終わると、父は腕組みをして考えるように目を瞑った。



「つまり―こういうことですか?ひなのさんをテレビの撮影で使いたい、と。」




「ええと、テレビではなくて、プロモーションビデオの撮影にご出演いただけたら、と。」




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