元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
シュガーさんは酸素マスクを外すと、体を起こした。
「押さないで良いよ」
「でも・・・っ」
シュガーさんは僕の涙を拭った。
「泣くな。情報屋が泣くなんて・・・」
「でもっ・・・」
「良いか氷。
情報屋は決して喜怒哀楽を出してはいけない。
表情を出すなら、笑っておけ」
「シュガーさん・・・何故ですか?
何故・・・病院へ行かないんですか?
死ぬかもしれないんですよ!?」
「・・・おれだって生きたいよ」
「へ?」
はぁ・・・と溜息をついたシュガーさんは、ポツポツ話し始めた。
「おれの家は病院なんだ。
父親はこの辺りの病院を占める委員会の会長でな。
おれもガキの頃から、病院を継ぐため教育された。
おれに母親はいなかった。
妹が生まれた後、離婚してな。
それ以来会っていない。
勿論妹にもだ。
おれは父親に気に入ってもらえるよう、勉強した。
しかし実がつかず、おれは捨てられた。
父親はおれを施設に預ける前に言ったんだ。
わたしの跡を継げないお前などいらない。
この世にも必要がないゴミだ。
わたしは医者として最低だとは思うが、もしお前が病気になったとしても、どこの病院にも行けないようにする。
お前はどこの病院へも行けないまま、拒否されたまま死ねってな・・・。
最初は意味が分からなかったよ。
意味が分かったのは、施設に入って数年後のことだ」