元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
僕を見ながら驚いた表情を浮かべる、女の人。
チョコレート色の髪色が、佐藤さんにそっくりだ。
「あの・・・兄のお知り合いですか?」
「僕は和泉氷といいます」
「あ・・・あの電話の。
初めまして、和泉陽詩(いずみ・ひなた)です」
「佐藤陽也さんの・・・妹さんですか?」
「はい。兄がお世話になりました」
「いえ。
佐藤さんには僕の方こそお世話になりました」
妹さんは、向日葵を置いて、手を合わせた。
暫くし、顔を上げた。
「今日母は抜けられない用事がありまして。
あたしだけなんですけど、いつか母も来ます。
母とあたしで説得して、父も来させるようにします」
ふっと浮かべた笑顔は、佐藤さんに似ている。
僕もつられて微笑んだ。
「その笑顔・・・佐藤さんに似ています」
「そうですか?」
「ええ。
殆ど表情は変わらない人だったんですけど、最期の日、初めて笑顔を見せてくれたんです」
「あの・・・お時間ありますか?」
「ありますけど?」
「兄のこと・・・聞かせてもらえますか?
兄やあなたがどんな仕事をしていても・・・あたしは聞きたいんです」
妹さんの真剣な目に見つめられ、僕は頷いた。