電波ジャック~ハロー・ラバー~
そこにいたのは、髪を撫でながら立つ相田。

俺はできれば会いたくない顔だった。
が、教室の後ろ側のドアから入ってきた場合、相田の席に行くのは俺の隣を通るのが近い。

そんな中、教室が俄かにざわつく。
俺は自分に視線が集まっているような気がして、胸がむかむかした。セイはしゃがみ込んだまま顔をあげる。

「おぉ……。どうしたの、相田さん。その格好」

そう。教室がざわついていたのは、相田の格好のせいだった。

制服のスカートの上に着ているのは、制服じゃなくて体操服の上だ。
長い三つ編みを撫で払うと、軽くため息をついた。

「平野くんが通学中、自転車をこぎながら買ったお茶を飲んでいて、出会い頭に私の制服にかけたのよ」
「だから、わざとかけたわけじゃねぇよ……」

俺は机に突っ伏してグチるしかない。

単語帳を見ながら歩いていた相田と、校門近くの十字路でぶつかりそうになった。
慌ててブレーキを握った俺は、勢い余って体がサドルから浮き、股を打った。そんでもって空回りした自転車のペダルで向こうずねと膝を打って、バランス崩して倒れた時に肘をアスファルトで摩ったのだ。
< 30 / 32 >

この作品をシェア

pagetop