電波ジャック~ハロー・ラバー~
ややあって、相田が答えた。

「過去形じゃないわ。今でも好きよ」

は?と、反射的に出そうな声を、俺は慌てて飲み込む。

「人として、魅力のある人なんじゃないの?私には相性が悪かっただけで」

淡々と話すトーン。
言っている言葉は、やっぱりフラれた女のセリフじゃなかった。

けれども、何故だか声は震えている。
いや、震えているのか……?
気のせいなのだろうか。

戸惑いに顔をあげると、相田がまた髪を撫でていた。

「私、人を嫌いになることは滅多にないから。」
「けど――」
「フラれたくらいで相手を嫌いになるなんて、私からすれば愚かだわ」

「好きだったのか……」

にらむように見据えると、相田の肩が一瞬はねた。


髪を撫でて、目線をそらす。
顔の向きから、廊下の窓に目線が移る。
何を見ているんだろう。

「好きなだけよ。人なんて、誰でも好きになるでしょ」
「だから俺は――」
「恋じゃなかった。こう答えれば満足かしら」


明らかに苛立っている声。
だが、目線は窓の方を向いたままだ。

「もう戻るわ。昼休みも終わるから」



言い終わるや否や、階段を降り始めた相田。
俺は後を追おうと階段を降り始めた。

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