冷たい手
今度は、車の外。駐車場から入ることの出来る、家の玄関をさす。
ミカもそちらを見る。家に入れといっているのだろうか?そう考えているうちに、ダイチは玄関に歩いていく。
ミカは自分のものだけを持ってついていく。
とは言っても、ミカのものは携帯だけ。
それから、水の入ったペットボトルに食べかけのメロンパンだ。

このまま家に入っても大丈夫なのだろうか。
でも、この場所すらもミカにはわからない。もう、入るしかないのに。少し悩んだ。


荷物を持って降りると、ダイチはそこに待っていた。

玄関で、ダイチがインターホンを、指さしている。
「インターホン?」
そして今度は、インターホンのカメラを指さす。指先で、トントンと叩く。
それの意味を美香は理解した。

「あ…はい。わかりました。次からはインターホンを利用します」

ミカは叱られた子供のように、少し小さくなってそう言った。
ダイチはかるくうなずき、玄関の扉をあけて家の中に入った。
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