Again
土曜日の会社は静かだ。仕事をしているのは仁と、その秘書の潤だけだ。
「仁、パリの日程が大まかだが決まったぞ。2日だけ、フリーな時間を作った。あとは無理だ。その他は日本と違って、夜に仕事はしないから葵ちゃんとは夜に時間を作って過せ。チケットは葵ちゃんの有給を取った日からでいいな、帰国も」
「ああ、それで構わない。ありがとう」
いつもなら副社長室の隣の秘書室で仕事をしている潤だが、今日は、副社長室にパソコンを持ち込み、応接セットで仕事をしていた。
パリの日程もパソコンを見ながら、仁に伝えていた。
「飛行機だけど、お前はファーストクラスだろ? 葵ちゃんはどうするんだ?」
「聞くな。同じに決まっているだろう」
聞く事もないだろうと眉間に皺を寄せ、潤を見る。
「あっそ。そうだと思ったけど、一応聞いたんだよ」
そんなやり取りをして暫くはパソコンのキーを叩く音だけが専務室に響く。仕事を一生懸命していると思っていた潤は、仁の思いがけない一言で、びっくりする。
「なあ、ここと、こっちだと、どっちに行きたいかな」
「はあ!? お前、真剣に仕事をしているのかと思ったら、何を調べているんだよ」
潤は呆れて立ち上がると、仁のデスクに近づいた。
パソコンの画面を見ると、しっかりとパリの観光サイトが出ていた。
「あー? ヴェルサイユ宮殿、モンサンミッシェル? そりゃどっちも行きたいだろうけどモンサンミッシェルは日帰りじゃ無理じゃないか? それに、そこまで行っている時間が、副社長であるお前にはない」
ぴしゃりと言う。
「そうか、そっちは今度にするか」
腕を組み、真剣に悩んでいる仁に、潤は突っ込みを入れた。
「おい! 仕事をしてください。お願いします、副社長。俺だってデートがあるんだから、早く終わらせたいんだよ」
「今度はどんな女だ?」
「普通のOL。だから土曜日は貴重なデートが出来る日なの」
「いいぞ、帰って。俺はもう帰るから」
潤のデートを聞いて、パソコンをシャットダウンした仁はパタンとパソコンを閉じた。
「へ!?」
「ほら、もう終わってる。帰るぞ、後は頼む」
書類とファイルを潤に手渡すと、デスクの整理をして、片付けをする。
片付け終えると、椅子の背もたれに掛けておいたジャケットとビジネスバッグを持った。
「じゃあな」
潤にそっけなくそう言うと、手だけを振りジャケットのポケットからスマートフォンを取り出した。
エレベーターに向かう途中、仁は葵に電話を掛ける。その顔は経営者ではない。
何コールかで葵が出た。
『仁さん?』
「今、仕事が終わった。これから帰る。周りが騒がしいが何処にいる? 迎えに行こうか?」
『近所のスーパーに買い出しに来ていたの。もう帰るところです』
「そうか。じゃあ」
『はい』
帰ると報告をして電話を切る。もっと煩わしいかと思っていたことが、何だかとても楽しい。
到着したエレベーターに乗り込む足取りは軽かった。
「仁、パリの日程が大まかだが決まったぞ。2日だけ、フリーな時間を作った。あとは無理だ。その他は日本と違って、夜に仕事はしないから葵ちゃんとは夜に時間を作って過せ。チケットは葵ちゃんの有給を取った日からでいいな、帰国も」
「ああ、それで構わない。ありがとう」
いつもなら副社長室の隣の秘書室で仕事をしている潤だが、今日は、副社長室にパソコンを持ち込み、応接セットで仕事をしていた。
パリの日程もパソコンを見ながら、仁に伝えていた。
「飛行機だけど、お前はファーストクラスだろ? 葵ちゃんはどうするんだ?」
「聞くな。同じに決まっているだろう」
聞く事もないだろうと眉間に皺を寄せ、潤を見る。
「あっそ。そうだと思ったけど、一応聞いたんだよ」
そんなやり取りをして暫くはパソコンのキーを叩く音だけが専務室に響く。仕事を一生懸命していると思っていた潤は、仁の思いがけない一言で、びっくりする。
「なあ、ここと、こっちだと、どっちに行きたいかな」
「はあ!? お前、真剣に仕事をしているのかと思ったら、何を調べているんだよ」
潤は呆れて立ち上がると、仁のデスクに近づいた。
パソコンの画面を見ると、しっかりとパリの観光サイトが出ていた。
「あー? ヴェルサイユ宮殿、モンサンミッシェル? そりゃどっちも行きたいだろうけどモンサンミッシェルは日帰りじゃ無理じゃないか? それに、そこまで行っている時間が、副社長であるお前にはない」
ぴしゃりと言う。
「そうか、そっちは今度にするか」
腕を組み、真剣に悩んでいる仁に、潤は突っ込みを入れた。
「おい! 仕事をしてください。お願いします、副社長。俺だってデートがあるんだから、早く終わらせたいんだよ」
「今度はどんな女だ?」
「普通のOL。だから土曜日は貴重なデートが出来る日なの」
「いいぞ、帰って。俺はもう帰るから」
潤のデートを聞いて、パソコンをシャットダウンした仁はパタンとパソコンを閉じた。
「へ!?」
「ほら、もう終わってる。帰るぞ、後は頼む」
書類とファイルを潤に手渡すと、デスクの整理をして、片付けをする。
片付け終えると、椅子の背もたれに掛けておいたジャケットとビジネスバッグを持った。
「じゃあな」
潤にそっけなくそう言うと、手だけを振りジャケットのポケットからスマートフォンを取り出した。
エレベーターに向かう途中、仁は葵に電話を掛ける。その顔は経営者ではない。
何コールかで葵が出た。
『仁さん?』
「今、仕事が終わった。これから帰る。周りが騒がしいが何処にいる? 迎えに行こうか?」
『近所のスーパーに買い出しに来ていたの。もう帰るところです』
「そうか。じゃあ」
『はい』
帰ると報告をして電話を切る。もっと煩わしいかと思っていたことが、何だかとても楽しい。
到着したエレベーターに乗り込む足取りは軽かった。