現実は小説よりきなり
紅茶を飲んでから、問題集に取りかかった。
今回は比較的範囲が狭いので勉強しやすい。
眞由美も可奈も美樹も黙々と手を動かす。
だけど、応用問題になるとたちまち手が止まるんだ。
「あ~ここ分かんない」
って顔をしかめた美樹の問題集を除き込む。
「あ、そこならね。こうやってこうやって、こうすれば...ほら、ね?」
と解き方を伝える。
「あ...なるほど。分かった」
美樹は嬉しそうに笑うと問題を解きはじめる。
「ねぇ、嵐、これは」
「あ、これは、ここがこうなって、こうやって、これでこんな感じ」
シャーペンで細かく書き込むと、可奈もウンウンと首を縦に振る。
「なるほどね。先生よりよっぽど分かりやすい」
なんて誉められると照れる。
「ね、嵐、ここ教えて」
今度は眞由美。
皆の分からない問題は思ったよりも複雑なもんじゃないから、公式を使って書き方を教えていく。
教えることで自分も再確認できるし、勉強は思いの外捗った。
「嵐ちゃんて、頭いいよね?」
も言った美樹に、
「あ、それは言えてる。こんなに頭良いのに成績が上位じゃないのが不思議」
と納得する眞由美。
「バカね、嵐は調節してるのよ。上位になんて上がって目立たない為にね?」
そうでしょ、と見透かした様に可奈が私を見た。
あらら、可奈にはバレてたんだね。
「うん、正解。解答欄を適当に空白にして点数を操作してた」
彼女達にもう隠す意味はないしね。
一緒に勉強すればバレることも分かってたから。
「もったいな~い。そんなの勿体ないよ」
美樹は拳を握って力説する。
「だよねぇ。頭良いのに隠すとかダメだよ」
眞由美まで力説しなくても。
「まぁ、これからは調節せずにテスト受けたら?もう悪目立ちしてるんだしさ」
軽く言ってのけた可奈は私にウインクする。
「そうだね。もう何やっても目立ってるからね」
琉希也君と一緒に居るだけで敵も増えるし。
今更、成績をわざと落とす必要は無いのかもね。
「今回は本気でやってみてよ」
とワクワクした顔で言ってきた眞由美に、
「ん。そうする」
と素直に頷いた。
これ以上ないほど目立ってるから、もう普通を心がける意味はない。
私の本気の実力を試してみるのも良いよね。