現実は小説よりきなり
「お邪魔するわね。って言うか、三人とも顔が間抜けよ?」
そう言って綺麗に笑ったのは霞。
いやいや、間抜けとか言われても。
普通驚くから。
「霞に、ついてきたんだってぇ」
と言いながら元の場所に座った美樹。
「邪魔だったか?」
と言った琉希也君に、
「「いえいえ、どうぞどうぞ」」
と声を合わせたのは可奈と眞由美。
いやいや、ここ、私んち。
二人から私へと視線を移動させた琉希也君はお前は?と言いたげな顔をする。
「あ、うん、紅茶でも入れるよ。二人も適当に座ってて」
一先ず落ち着こう。
突然の琉希也君の自宅訪問に焦ってる場合じゃないわ。
立ち上がった私はキッチンへと向かう。
なんだかな?
来るなら来るって言っておいてほしかったよ。
ブツブツ言いながらサイフォンをセットする。
ほんとさ、驚きすぎる。
男子って女子寮に立ち入り禁止じゃ無かったんだね。
ポタポタ落ちる褐色の滴を見つめながらそんなことを思った。
「...嵐」
間近で聞こえた声にハッと顔を上げる。
すると、結構な至近距離に琉希也君が居て、私を見下ろしてた。
「なっ...何?」
警戒ぎみに首を傾げる。
ちょっと、ドキドキするんですけど、この距離。
「お前の部屋綺麗だな?」
周囲を見渡してそう言った琉希也君に、
「あまり物がないからそう見えるのかも」
と答える。
必要最低限の物しか置いてないから、スッキリ見えるんだと思う。
「ふ~ん、そうか。っうか、お前知ってる?」
私の側の壁にトンッと手をついて、私を見下ろしてくる琉希也君。
えっ?えっ?もしや、これは巷で噂の壁ドンでは?
顔の近距離にある彼の腕にドキドキが加速する。
「...っ..なっ、何を?」
琉希也君は聞いてるの?
「女子寮の五階のこの部屋と男子寮の五階の端の部屋ってとベランダで繋がってんだぜ?鍵のついてねぇドアを開ければ行き来出来る」
琉希也君はそう言って妖艶に微笑んだ。
「はぁ?」
な、なんですと!
そんな話、初耳です。
「おいおい、目開きすぎ」
クククと笑う琉希也君に、
「だ、だって、そんなの」
知らなかったし、焦るあまり上手く言葉に出来なかった。
いやいや、ここに結構すんでますけど、気付きませんでしたよ。