現実は小説よりきなり
しかも、今日の夜に来るとか言ってたし。
どうすりゃいいのよ。
私が携帯小説家だってことは、トップシークレットなんだからね。
色んな意味で心臓がドキドキしてる。
琉希也君に壁に追い詰められた事も、そして秘密を知られちゃってるかも知れない事も。
ほんとに、有り得ないんですけど。
私、どうすればいいのよ。
頭を抱えた私は、暫く立ち上がることが出来なかったのは言うまでもない。
あまり遅くなって皆が怪しむと困るので、なんとか心を奮い立たせて淹れたての紅茶を二人分持って、リビングに戻った時には、琉希也君の姿は何処にもなかった。
「お待たせ。あれ?」
と紅茶をテーブルに置きながら琉希也君を探した私に、
「琉希也は用事を思い出したらしくて帰ったわよ」
と霞が教えてくれた。
「あぁ、そうなんだ」
帰ってくれて助かった。
彼が居たら勉強所じゃなかったわ。
「琉希也の分の紅茶は私が飲むよ」
と手を出した美樹に、
「あ、そうしてくれると助かる」
とカップソーサーを手渡した。
一先ず、彼の事は忘れて勉強しよう。
元の場所に座ると皆と勉強を再開させた。
苦手なことが多い美樹に、ほとんど付きっきりだった。
霞もちょこちょこと聞いては来るものの、美樹ほどではない。
本当に壊滅的だった美樹の学力には驚いた。
「嵐ちゃんて、教えるの上手いね。凄く分かりやすくて助かるぅ」
「そうでもないよ。要点さえ分かればなんとかなるよ」
尊敬の瞳を向けてくる美樹に、少し照れ臭くなる。
「確かに、嵐の教え方は凄いわよ」
「そんなことないって」
霞にまで誉められたし。
「嵐のノートって凄く見やすく整理されてるよね」
と言った可奈に、
「だよねぇ」
と眞由美も頷く。
「こんなに勉強できるのに学年順位は中間なんでしょ?」
不思議ね?と聞いてきた霞に、
「あ、この子、成績を調節してたのよ。上位に行って目立たないように」
と可奈が言う。
ば、バレてたのね。
「可奈...知ってたの?」
って聞いたら、
「当たり前でしょ。嵐に良くノート借りてるから学力は分かるわよ」
と呆れ顔で言われた。
「えぇ~私は分からなかったぁ。可奈も嵐も凄いね」
と眞由美がエヘヘっと笑って、
「眞由美には分からなくて当然よ。借りたノートを丸写ししかしないんだから」
と可奈に撃墜された。