現実は小説よりきなり





しかも、今日の夜に来るとか言ってたし。


どうすりゃいいのよ。


私が携帯小説家だってことは、トップシークレットなんだからね。


色んな意味で心臓がドキドキしてる。

琉希也君に壁に追い詰められた事も、そして秘密を知られちゃってるかも知れない事も。


ほんとに、有り得ないんですけど。



私、どうすればいいのよ。

頭を抱えた私は、暫く立ち上がることが出来なかったのは言うまでもない。





あまり遅くなって皆が怪しむと困るので、なんとか心を奮い立たせて淹れたての紅茶を二人分持って、リビングに戻った時には、琉希也君の姿は何処にもなかった。


「お待たせ。あれ?」

と紅茶をテーブルに置きながら琉希也君を探した私に、


「琉希也は用事を思い出したらしくて帰ったわよ」

と霞が教えてくれた。


「あぁ、そうなんだ」

帰ってくれて助かった。


彼が居たら勉強所じゃなかったわ。


「琉希也の分の紅茶は私が飲むよ」

と手を出した美樹に、

「あ、そうしてくれると助かる」

とカップソーサーを手渡した。



一先ず、彼の事は忘れて勉強しよう。


元の場所に座ると皆と勉強を再開させた。




苦手なことが多い美樹に、ほとんど付きっきりだった。


霞もちょこちょこと聞いては来るものの、美樹ほどではない。

本当に壊滅的だった美樹の学力には驚いた。



「嵐ちゃんて、教えるの上手いね。凄く分かりやすくて助かるぅ」

「そうでもないよ。要点さえ分かればなんとかなるよ」

尊敬の瞳を向けてくる美樹に、少し照れ臭くなる。


「確かに、嵐の教え方は凄いわよ」

「そんなことないって」

霞にまで誉められたし。


「嵐のノートって凄く見やすく整理されてるよね」

と言った可奈に、

「だよねぇ」

と眞由美も頷く。


「こんなに勉強できるのに学年順位は中間なんでしょ?」

不思議ね?と聞いてきた霞に、


「あ、この子、成績を調節してたのよ。上位に行って目立たないように」

と可奈が言う。


ば、バレてたのね。


「可奈...知ってたの?」

って聞いたら、


「当たり前でしょ。嵐に良くノート借りてるから学力は分かるわよ」

と呆れ顔で言われた。


「えぇ~私は分からなかったぁ。可奈も嵐も凄いね」

と眞由美がエヘヘっと笑って、


「眞由美には分からなくて当然よ。借りたノートを丸写ししかしないんだから」

と可奈に撃墜された。











< 107 / 123 >

この作品をシェア

pagetop