現実は小説よりきなり
校庭を駆け抜ける俺に向けられるのはいつもと変わらない視線。
興味本意だったり、恐れだったり。
女達はキャーキャーと騒ぐ。
「琉希也様ぁ~」
「抱いてください」
「こっち向いてぇ」
我先にとアピールする黄色い悲鳴を上げる女達。
どいつもこいつも、俺の地位と顔しか見てねぇ糞だ。
ちょっと優しくすれば、簡単に股を開く女達に辟易する。
だけど、それを利用して性欲処理してる俺もくだらねぇな。
だらしない下半身をもって俺だけど、それなりにルールはある。
簡単に寄ってくる女は一度しか抱かねぇし、抱く前に遊び以外じゃ抱かねぇと告げる。
そして、キスはしねぇ。
女にそれを納得させた上で遊んでやる。
女達もそれを求めてるのか、大抵の女はそれを了承して俺に抱かれる。
ほんと、くだらねぇし馬鹿げてる。
分かってるのに、不毛な行為しか出来ねぇ俺は多分欠陥品だ。
女達を無視して校門を抜けると、木下嵐の後を追う。
俺を見ても目を輝かせなかった女。
自惚れじゃねぇけど、普通の奴なら、あの距離で俺が居たらそれなりにアピールしてきやがるのに。
あいつはそれを全くしなかった。
それ以前に俺と目を合わせもせずに去ってった。
だから、余計に気になった。
面倒臭せぇのに、こうやって走って追いかけてるとか、俺は何やってんだろうな?
頭じゃなくて、体が勝手に動くんだ。
あいつを追い掛けてぇと。
胸の中に沸いてくる得体の知れない思いに戸惑う。
どうしてだか、いつが気になる。
んだこれ?
胸元に手を当てる。
よく分かんねぇ思いを抱えながらも、漸く目的の人物の背中を発見する。
「...チッ...やっぱ足引きずってんじゃねぇかよ」
苦々しく吐き出した言葉。
ピコピコと足を引きづりながら歩く木下嵐の後を距離を空けて追いかける。
声を掛けるタイミングが良くわかんねぇ。
一先ず様子見るか?
接点のねぇ俺に声を掛けられても、あいつも困るだろうしな。
気付かれない様に後をつけるなんて、ストーカーかよ!と自分に突っ込みを入れる。
俺の存在に気付いた帰宅途中の生徒達は騒ぎ出すのに、木下嵐は全く気付かねぇ。
つうか、あいつは周りを気にしてねぇんだと思う。
駅方面に向かう木下嵐を学生服のズボンのポケットに片手を突っ込んで、鞄を肩に掛けて追いかける。