現実は小説よりきなり




「うん。読む読む。ラブリーカフェに好きな作家さんがいるんだぁ」

眞由美から出たよく知る名前にドキッと胸が跳ねた。


ま、マジで?眞由美、ラブリーカフェの愛用者だったの?

まさかの事態に平静を装いながらも内心は有り得ないほど動揺してた。



「えっ!眞由美ちゃんも。私もラブリーカフェ大好き」

「キャーすごい」

手を握りあって盛り上がる美樹と眞由美。



「それなら私も知ってるわよ」

...か、霞まで?


「私、そこの書籍持ってるよ」

可奈もぉ?


この場合、私はなんて言えば良いのかな?


知ってると言って深く聞かれたら困るし。

皆が知ってるなか知らないとか言えそうにもないし。


うぅ...どうしたら良いのぉ。

悩んだ結果、私は沈黙を選んだ。


4人の話に聞き入る振りをした。



「大好きな作家さんて誰?」

美樹、もうその話題に触れないで。


「せぇの!で言おうよ」

何のためによ、眞由美。



「「嵐斗」」

二人は互いに指差して大声でその名前を呼んだ。


私の心臓は有り得ないほど脈打った瞬間だった。


まさか、その名前が出るなんて。


「嵐ちゃん、知らない?その人の作品、映画化もされたんだよ」

なぜこのタイミングで私に振ってきたの美樹。


「...あ、聞いたことあるような?」

私の顔、絶対ひきつってたと思う。


よ~く知ってますよ。

嫌ってほど知ってます。



「んもう、嵐てば。そう言う系に疎そうだもんね。今度小説貸そうか?」

...貸して貰わなくても、沢山あるよ、寝室のクローゼットの中にね。

眞由美の言葉に苦笑いが漏れる。


「...あ、う、ま、そのうちね?」

曖昧に返事した。


「貴女達、親切の押し売りはダメよ。嵐斗って言えば恋愛小説でしょ?嵐はそう言うの苦手なのよ」

庇ってくれた霞だけど、彼女も嵐斗を知ってる事に驚いた。


「あ、でも、結構面白いよね。私も嵐斗の書籍持ってるわよ」

可奈...貴女もですか。


冷や汗が流れてしまいそうだ。



「へ、へぇ、有名な人なんだね。その小説家」

自分で言うのも可笑しいけど。


そうなんです、今話題になってる嵐斗とは私のペンネーム。


こんな身近に読者様がいらっしゃったとは驚きです。

あぁ、罪悪感が沸いてくるよぉ。





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