現実は小説よりきなり
戦々恐々としてたけど、そこまで状況は悪くないかも知れない。
琉希也君だけが知ってるなら、口止めするだけで良いのではないだろうか?
そう思うと心持ち気分は楽になる。
だって、琉希也君も私を困らせる事はしないと思うしね。
「っうか、隠してるって事は誰にも知られたくないんだよな?」
と意地悪く口角を上げた琉希也君に、つつっと額から汗が流れた様な気がした。
いや、うん、大丈夫...だよね?
自分に言い聞かせる。
第一隠してるんだから、知られたくないし決まってるし。
「そ、そうだけど」
「だったら、俺には聞かせて貰おうか」
「.....」
いや、だから、どういう事なの?
えぇ~っと?と首を傾げる。
「だから、お前が何者か教えろよ。で、秘密を共有しようぜ。だから、詳しく教えろよ」
平然と当たり前みたいに言うけど、それ意味分かんないから。
「えっと...その、秘密を共有?」
すっとんきょうな声が出た。
「ああ。俺が詳しく知ってたら、何かあった時に助けてやれるだろ?」
なんて言うけど、そんな時は来ないと思う。
今まで、そんな窮地に立った事ないしね。
琉希也君にバレるまでは上手く隠してたし。
念には念を入れてるから、そうそうないと思うの。
「いや、あんまり無いかな?」
アハハ...と愛想笑いしたら、
「んなの、分かんねぇだろうが」
と返された。
いや、しかし、無いと思います。
話せよ!とばかりに私を見てくる琉希也君。
言うまで視線を逸らさない決意らしい事はよく分かる。
えぇ~話さないとダメなの?
いやいや、そんなことしたら今書いてる小説バレちゃうじゃん。
それは困るから。
ツツッ...今度こそ本気で汗が目尻を流れ落ちた。
不味いから。
本気で不味いから。
「えっと、あの深く話す事は...」
出来ないの、と言おうとしたら、
「話すまで帰らねぇからな」
と言い切られた。
いやいや、帰ってください。
もう、遅い時間だからね。
「.....」
どうする私....どうすんの?
「まぁ、俺としては泊まってっても問題ねぇし」
妖艶に微笑んだ琉希也君にドキッとした。
泊まられても困りますぅ。