現実は小説よりきなり
「先生、一先ず机の中のゴミを片付けませんか?木下さんもゴミの詰まった机では勉強しづらいと思いますし」
先生の背後からゴミ箱を持って現れたのは、黒髪の生真面目を絵に書いたような委員長。
性別は男、キチンと着こなした制服から彼の几帳面さが見て取れる。
「あ、お、おう、そうだな」
先生は慌てて頷くと、私の机の中を漁り始める。
そして、手紙以外のゴミを委員長の持ってきてくれたごみ箱へと放り込んでいく。
その間も、コソコソと囁やくクラスメート。
大半の人間は私に敵意なんて持ってないので、ほとんどの人が哀れみの言葉を口にしてるのだけど。
三人だけが強張った顔付きで先生の動向を伺っていた。
「さ、じゃあこれは預かっていくな?」
手紙を手にした先生が私にそれを見せる。
別に必要ないから、それは良いんだけど。
思いの外、物事が大きくなってしまったのは誤算だ。
「あ...先生、今回は..穏便にお願いします」
今、彼女達を追い詰めちゃダメだから。
悪化しても困るし、話を聞けてないしね。
「いや、でも、しかしな...」
先生は困った様に顔を強張らせる。
きっと、先生の中の正義が葛藤してるんだと思う。
「今のところ、これぐらいですし。大きくして今以上に悪化しても困るから」
と目を伏せて言った私に、
「...分かった。今回は木下の言う通りにしよう。だが、証拠としてこれは預かっておく。今後何かあった時に直ぐに動けるようにな」
と頷いた先生。
この言葉で、もう彼女達は何もしてこなくなると思う。
ってか、出来ないよね?先生が証拠を握ってるから。
ギャル三人に顔を向ければホッとした顔つきになってた。
そのうちの一人と目があったから、フフフと意味ありげに笑っておいた。
犯人見つけましたよぉ~の意味を込めて。
その途端に、コソコソと顔を寄せた三人はバツが悪そうに俯いた。
この態度から、あの子達が罪悪感を抱いてるのは明白で。
と、言うとこは..何か裏が有りそうだなぉ。
携帯小説家としての血が騒いだ。
黒幕とか居るかな?
ああ、こんな時にも小説みたいな展開を想像するだなんて、私、携帯小説に取りつかれてるなぁ。
このストーリー使えるかも、と心の中でほくそ笑んだ私に気付く者はこの教室には居なかっただろう。