現実は小説よりきなり
溜め息をもう一度漏らして、お弁当の入った袋を持って歩き出す。
外からも中からも突き刺さる視線。
穴空くわよ!
琉希也君はドアにもたれて腕組みして私を待ってるし。
悔しいけど格好いいのよ、その姿。
小説更新時にはぜひとも参考にさせてもらおう。
良く考えたらさ、小説の種にしてた琉希也君達と一緒に過ごすなんて凄いよね?
まさかまさか!の事態だわ。
ほんとね、人間どう転ぶか分かんないね。
まぁ、近くで観察できるのはある意味、役得だと言えば役得だけど。
それなりにリスクあるのよねぇ。
廊下側の窓からこちらを睨んでる他のクラスの女子達に辟易する。
一組の皆は、朝の事があるからあからさまには何もしてこなだろうけど、他クラスは分かんないよね。
やだねぇ、実に面倒臭い。
後少しでドアって時に、後ろから声が掛かった。
「木下さん」
「あ...委員長」
そう、こちらを見てたのは委員長。
「君が教室を離れてる間は、クラス皆で君の机を見張っておくよ。な、皆」
「「「おぉ!」」」
委員長の言葉にこっちを見てたクラスメート達が答える。
皆、良い奴らじゃん。
自然と口元が緩む。
もちろん、妬みの視線を向けてる子も数人居るけど、ほとんどの皆が笑顔を私に向けてくれてるんだ。
「うん。皆、お願いします」
頭を下げてから微笑んだ。
「安心していっておいで」
委員長の笑みはホッとするね。
「うん、行ってきます」
こんな風に委員長と長く話した事なんて初めてだよ。
私は温かい気持ちのまま、委員長達に背を向ける。
なんか、凄く気持ちが軽いな。
もたれかかってたドアから体を起こした琉希也君がさっきのやり取りを見て怪訝そうに眉を寄せていた。
「お待たせ」
と言った私に、
「何かあったのか?」
と質問してきた琉希也君の表情は固い。
「あ...うん、ま、色々ね」
ここでながなが話しても仕方ないので言葉を濁した。
「...おい、何があった?」
私からは聞けないと踏んだのか、琉希也君は私越しに私の後ろに居るであろう委員長に声をかけた。
いやいや、後で話すからさ。
「ね、行こうよ」
琉希也君を見上げたけど、彼は委員長を真っ直ぐに見てて。
勘弁してよ、ほんとに、目立ち過ぎてるから。