現実は小説よりきなり
琉希也君は委員長に鋭い視線を向ける。
それは早く答えろ!と言わんばかりに。
教室の温度が2℃ほど下がったみたいになり、琉希也君にビビった男子達がそそくさと視線を逸らしていた。
ちょっとうちの委員長を苛めないで欲しいわ。
琉希也君に抗議しようと口を開こうとした時だった。
「ああ。それは彼女に嫌がらせをする人達が居ることが発覚したんだよ。だから、クラス一同で彼女を守ろうと思ったんだ。その手始めに机が荒らされないように見張るつもりだ」
凛とした委員長の声が聞こえた。
「...い、委員長?」
思わず振り返った私の目に写ったのは、琉希也君の迫力にも押されることなく真っ直ぐに彼を見つめ返す委員長の姿。
おぉ、委員長、ちょっと格好いいです。
できすぎ君みたいな委員長は中々やるみたいだ。
「そうか、だったら頼む。俺も嵐を力の限り守るつもりだけど、クラスの中までは無理だからお前に任せる」
「えぇ~っ!」
思わず声が出た。
委員長に任せちゃうの?
「もちろんです。僕はクラスメートとして彼女を守りますよ」
眼鏡のフレームをクイッと押し上げた委員長は自信に満ちた顔で頷いた。
「フッ...上等だ。嵐、お前のクラスの委員長は格好いいな」
私の頭にポスッと手を置いた琉希也君に、ポッと頬が赤くなる。
いや、ほら、私もやっぱ女子だし。
そんな彼を見てギャラリーしてた女子達が卒倒しそうなほど黄色い悲鳴を上げた。
ちょ、ちょっと、これはダメでしょ!
敵が増えるばっかりの様な気がするのは私だけじゃないよね。
今のポスッてやつは小説の中じゃラブポイントだけど、こでやっちゃダメでしょうよ。
助けてぇ~加奈、眞由美。
二人に視線を向けたら、ファイト!って顔してた。
ん、二人はどうやら戦力外らしい。
琉希也君の行動に赤くなった私の頬は直ぐに青ざめる事になったのは言うまでもない。
「ほ、ほら、もう行こうよ」
長居は無用だ。
「おう、分かった。じゃあな、委員長」
琉希也君は頷くと私の頭に乗せてた手で委員長にヒラリと手を振る。
「はい、もちろんです」
委員長、めちゃくちゃ良い返事したじゃん。
しかも、ちょっと嬉しそうなんだけど。
委員長は頼られることが凄く好きなのかもしれないと思った。