現実は小説よりきなり
委員長って、真面目で良い奴だね。
今日は一気に彼の株が上がったのは言うまでもない。
顔だって変じゃないし、どちらかと言えばきっとイケてる方。
あの七三に分けてる髪型と服装をちょいと弄れば、女子ファンが増えそうだ。
機会があったら、彼を改造してみよう。
ちょっとワクワクしてきた。
「おい、他の男見てんな」
不機嫌な声で意味の分からない事を言われて首を傾げた私の手を掴んだ琉希也君。
「...へっ?」
何のことでしょうか?
ってか、この手は繋ぐ必要あるの?
繋がれた手に視線を落とす。
「良いから行くぞ」
私の手を引いて歩き出した琉希也君。
さっきまで、機嫌良かったのにどうしたんだろう。
琉希也君が私の手を引いて廊下に出た途端に上がった悲鳴に鼓膜がヤられそうになった。
「「「「「「キャー!!!」」」」」」
五月蝿いったらありゃしない。
琉希也君はジロッと周囲を睨み付けると廊下の中央をズンズンと歩き出す。
もちろん手を引かれてる私も必然的にそこを通る。
廊下に群がってる女子達からは貫通しそうなほどの視線をお見舞いされてる。
いやぁ~視線で人が殺せそうだよね?
うんうん、小説の主人公の女子ってこんな視線を向けられてるのね。
気持ちが痛いほど分かったなぁ。
後でメモっとかなくちゃ。
こんな私は呑気ものかも知れない。
「手を繋いでる」
「どうして、あんなコ?」
「なんなのよ、あいつ」
チクチクする視線と吐き出される悪意。
あ~もう、これって失敗じゃん。
琉希也君と居たら余計に嫌がらせに遇いそうな気がするんだけど。
「おい、てめぇら、嵐に手を出したら死ぬほど後悔させてやるからな、よ~く覚えとけよ」
琉希也君は悪意を向けてきた女子達の前に立ち止まると、物凄い殺気を放出して彼女に告げた。
その声はお腹に響くぐらい低くて、震え上がるがぐらい怖かった。
明らかな殺気を向けられた女子達は顔を青ざめさせながら、ガタガタと震える唇をキュッと引き締めて何度も首を上下に振った。
他にもボソボソ言ってた女子は居たけど、琉希也君が彼女達に向けた殺気を目にして皆一様に口をつぐんだ。
彼はやっぱり不良なんだと思った瞬間だった。
私には優しく微笑んでくれるけど、一度牙を剥くと容赦ないみたい。