現実は小説よりきなり
「あ...いや、ほら、美樹の方が周りがね?」
騒がないし、と言葉を濁しながら私達に興味本意の視線を向けてるギャラリーの皆さんを一瞥した。
「ああ、こんな奴は無視で良い。放課後も迎えは俺だ」
いやいや、そんな簡単な事じゃなくてさ。
しかも、放課後も来るの決定なの?
「...あんまり目立つのは苦手だから」
琉希也君にはハッキリ伝えなきゃダメなんだよね。
「それは慣れろ。俺と居ると言うことは目立つのは防げねぇ」
「.....」
そんなこと言われたら身も蓋も無いよね?
ガクッと肩を落とした私に
「嵐ちゃん、もう諦めるしか無いって。琉希也って言い出したら聞かないから」
と言うとポンと肩を叩いて苦笑いした美樹。
はぁ...小さい溜め息をついたのは言うまでもない。
頭の中のメモに記載、俺様は何を言っても覆らない!と。
「とにかく行くぞ。昼飯食う時間が無くなる」
琉希也君は私の手を引いたままスタスタ歩く。
「嵐ちゃんはお弁当?」
私の隣を歩くのは美樹。
「あ、うん。部屋にキッチンあるしね」
「やっぱ一人部屋は良いなぉ」
羨ましそうに言った美樹に、
「例えキッチンが有ってもお前は料理できねぇだろうがよ」
と冷たい突っ込みが入る。
「煩いし琉希也。練習すればなんとかなるのよ」
キッと琉希也君を睨んだ美樹。
確かに練習すればなんとかなると思う。
「ククク...だったら良いけどな?」
琉希也君は意地悪そうに笑う。
美樹には出来ないとばかりに。
「ムキーッ!悔しい。大丈夫だもんね、嵐ちゃん?」
プンプン怒った美樹は私に話を振ってくる。
「うん、大丈夫だと思うよ。私も初めは下手だったし」
一番最初に作った卵焼きはしょっぱかったもんね。
「カレーを食えなく作る才能を持った奴でもか?」
そう言って私を見下ろす琉希也君。
「いやいや、カレーはルーを入れるだけだからそれはないでしょ」
カレーは鉄板だもん。
ほら、小学生でも林間学校で作るぐらいだしさ。
「ほら、見ろ。無理だろ?」
琉希也君は美樹を見てクククと笑う。
隣からは重苦しい空気が漂ってきた。
「えっ?」
隣に目を向けると黒いオーラを纏って美樹がドヨヨ~ンと落ち込んでた。
ま、まさか、カレーを食えなく作る才能って...美樹の事?