現実は小説よりきなり
普通の振りして漸く辿り着いた昇降口。
念の為に振り返って見たけど、彼等の姿はもうない。
「ありがと、可奈、眞由美。助かったよ」
そう言った私の手を可奈は解放してくれた。
二人は私の顔を心配そうに覗き込む。
「はぁ...最悪だぁ」
下駄箱に片手をついて痛い右足を持ち上げた。
本気で痛すぎる。
「大丈夫?足挫いたの?」
と眞由美。
「保健室に行った方が良くない?」
と可奈。
「落ちた時に挫いたんだろうなぁ。保健室は行ってる時間ないや」
腕時計で時間を確認したら、待ち合わせまでもう時間がない。
「あ、そっか。用事あるんだったね」
眞由美にそう言われ、
「うん。だからもう行かなきゃ」
と自分の靴箱からローファーを取り出した。
「どこまで行くの?ついてこうか?」
心配そうな可奈。
申し訳無いけど、ついてこられちゃ困るんだよね。
「一人で大丈夫。駅前だし」
ごめんね。
上靴からローファーに履き替えながら可奈に断りを入れる。
心配そうにしながらも二人も靴を履き替える。
約束通り校門まで行くと二人に別れを告げた。
学校の寮は校舎の裏側になるから、私とは反対側に進まなきゃならない。
最後まで心配そうに見守る二人に背を向けて歩くのは忍びなかったけど、ついてこられるのも困るからね。
歩く度に痛みの走る右足首。
ほんと、勘弁して欲しい。
駅前までなんとか頑張らなきゃと気合いを入れる。
編集者さんとの打ち合わせが終わったら、絶対に病院に行こう!と思うほどの激痛に堪えながら足を進めた。
帰宅中の生徒達に、びっこを引きながらも急いで歩く私は滑稽に写ってるだろうけど、今はそんなの気にしちゃいらんない。
待ち合わせに遅刻とか絶対にしたくない。
気合いだけで今を乗りきろうと頑張ってた私は、この夜に足首がパンパンに腫れ上がって大変な事になってしまうのを予想出来ないでいた。