【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん


「結衣?」


ベッドの上に寝ているはずの結衣の姿がない。



「あ…ごめん。気持ち悪くて」


「吐いたのか」


「うん。腹も身の内だってこと忘れてた」


「薬もってくる」


「いやいい。どうせ吐く」


またベッドへ横になる。



話したいことたくさんあるんだけどごめん。

あぁ。落ち着いてからでいい。


そっと頭を撫でてくれる隼



「ごめん、気持ち悪い」


慌ててトイレへとかけこんだ。


どんだけ食べたんだよと食べたものが浮かびすぎる。


こ…これで自転車没収とかないよね?


こんな状況でも気になる自転車。



トイレから出れば


「結衣、熱っぽいな。医者いくぞ」


「大丈夫」


「明日は土曜だ。医者やってねぇだろ」


そのまま隼に抱かれて玄関へ



「ママも」


「あぁ。お袋も親父と車に乗って出たから安心しろ」


「自転車没収?」


「フッ…大丈夫だ。治ったらまた乗ればいい」


「うん。ありがとう」



高野さんが車を横付けしてくれて


すみませんとお詫びしたいが


口を開こうとすれば


「結衣、黙ってていい」


隼の言葉でそのまま瞼を閉じた。




< 185 / 282 >

この作品をシェア

pagetop