【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
「す…すごいね」
「あいつはただもんじゃねぇと思ってたけどな」
だけど何もわからなくなっちゃうぐらい混乱しちゃうわけじゃないんだと安心したのも事実。
会計が終わり藤堂の家へ戻ると由香里さんに春香さんが病院へ入った報告をした。
「春ちゃんいよいよなのね」
「痛いって笑ってたよ」
「あの子らしいわね」
「うん」
「でもそのうち笑えなくなるのよ」
「ひ――――――ッ」
由香里さんは一変に私を奈落の底へ突き落して笑っている。
「この世に生を受けたってことは幸せな事。そしてまた世に命を送りだす事が出来るのも幸せな事なのよ」
「はい」
「子どもがいるから幸せで子どもがいないから不幸せというのも違う。人の幸せはそんな事では、はかれないわ。だけど命を送りだす使命をうけたなら全うするしかないでしょ」
私は何度も頷いた。
「出産の大変さは終わりが来る。だけどこの世に生み出したらその子の一生がかかってるのよ。そっちの方がずっとずっと大変」
「まして極道だし」
私が吹き出すと
「性別聞いた?」
「ううん。聞かない事にした」
「どっちでもいいよ。元気だったらね。極道になんかならなくても全然いい。むしろその方がいい」
そう言ってから由香里さんは回りをキョロキョロ見回して小さく笑った。