【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
私のマタニティーライフはそれは順調そのもの。
出産の恐怖を感じているのは私だけなので隼は楽しみしかない。
「早く産まれねぇかな」
「いや、そうなんだけどその前にどれだけの苦しみを味わうのかと思うと怖いんだよね…」
「代わってやれねぇからな。ごめんな」
謝られても困る。実際隼が苦しむぐらいなら私でいいと思う。
だけど未知の経験は妄想を膨らませその得体の知らない痛みがやっぱり怖い。
「みんな産んでるんだ」
「だよね?」
そのみんなという言葉はとてつもない安心感を与えてくれるものだった。
そして予定日近くなるとお腹が張る事が多くなってきた。
これは陣痛の練習だと教えてくれた。
お腹が張ると強張る感じがして動くことが出来ないが痛みはない。
「あれ?こんなもの?」
意外と平気かもしれない。
あまりに恐怖感を持ちすぎていたなと1人で笑ってしまった。
最近は、昼間には由香里さんが私たちの部屋へとやってくる。
赤ちゃんのものが揃えられた部屋が楽しいらしい。
由香里さんは2人とも男の子だったから女の子がいいと言っていて
「やっぱりさいろいろ着せたり髪の毛結んだりしたいじゃない」
「それわかります」
「男はねぇ…」
2人でテレビを見てお茶を飲みながらそんな話しをしているとお腹が張った。
だけど何かいつもよりちょっとその張りが強かった。
おしるしと言われる出血もない。
検診では先生にもういつ陣痛がきてもおかしくないと言われ覚悟はきめた。
それでもちょっとばかり痛みが強い。