【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
ドアが開き響さんが入ってきた。
「お帰りなさい」
涙を拭きながら言葉をかけると
「結衣、どうした。何があった」
響さんが私の前に屈みこみ頭を撫でる。
「20数年前を思いだして。同じような事があったわ」
由香里さんの言葉ですぐに思い当ったらしい。
それが響きさんという人だ。
由香里さんと生きてきたひとつひとつをいつもちゃんと覚えている。
とても大切にしているのがこういうところでもわかる人だ。
「結衣が私には帰る家がないって泣いてた」
「バカだな結衣は」
響さんがそっと抱きしめてくれて
「俺は結衣の親父だぞ」
「はい」
「結衣は私が生んだのよ」
由香里さんからもすすり泣きが聞こえて申し訳なくなった。
「よし、今日は親子、孫で川の字で寝るぞ」
「あはは響、張り切ってる」
「バカ男は1人淋しく寝ればいい。結衣は帰さん」
「当り前でしょ」
「俺は由香里を帰してもらうのに3日もかかった」
「あはははは」
「飯食ってくるからその間に布団敷いとけ。和室に3枚敷いて寝るなんていいなぁ。楽しみだ」
響さんは本当に嬉しそうにして着替えをすませると食堂へと降りていった。