【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
由香里さんと菫に続いて響さんが戻ってきた。
「あのガキ、本気で殴りやがった」
「隼に殴られるとはあんたも大したことないね」
「なに、隼はもっとくらってるさ」
「ちょ…パパやだほんとに」
慌てて部屋に戻ろうとすると由香里さんがまったをかける。
「まだダメだよ。勝負はついちゃいない」
喧嘩をしていたのは私と隼だったはず。
だけどいつのまにかすり変わっている気がして仕方がない。
困ったと思いながら座っていると私のスマホのアラームが鳴りだした。
それは隼の出掛ける仕度を始める時間で
菫にパパが出掛けると教える為の相図のようなものだ。
テレビを見ている隼のとこへ
「パパ」とハイハイをしながら呼びに行くのが菫の仕事。
わかっているのかいないのか条件反射のようにその行動は行われていた。
当然菫はアラームの音に反応し
「パパパパ」繰り返し言って部屋の中を動きまわる。
由香里さんがおもちゃを渡しても
「パパパパ」
しまいにパパと泣き出した。
私が抱いても、「パパパパ」
これは自分の仕事が出来ないという責任感なんてものじゃないと思うが
菫は紛れもなく今はパパに会いたくて仕方がないわけだ。
「あのぉ…」
「負けた。行ってやれ」
不貞腐れた子どものような響さん。
「菫の方が隼よりずっと親思い」
笑いながら菫にバイバイをする由香里さん。
そんな言葉を聞きながら私は菫を抱いて部屋へ戻った。