【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
自分だけ欲しいものを手にするわけにはいかない。
「挨拶って大切だと思う。あの場だけじゃなくて、改めて訪問する事に意味があるような気がするんだけど…」
緊張を隠すように箸を動かすのは由香里さんと私だけ。
それ以外は、ぴたりと動きが止まった。
さすがに由香里さんもやばいと思っているのかもしれない。
でも、心の奥底に隠している2人のお楽しみは別として
しようとしている事は悪いことではないはず。
きっといい結果になると信じて疑う余地もない。
「挨拶って北から南まで全部か?」
響さんのバリトンが響いた。
「全部じゃなければ意味がないと思うわ」
由香里さんの優しい声も響く。
「それをやろうとしているのか」
今度は隼のバリトン。
「北は遠山さん、西は小百合さんに奥野さん、南は五郎ちゃんに相談しようと思ってる」
「2人で行くのか」
「無理と言われるのは承知してるわ。植木と三浦に同行をお願いしてもダメかしら?」
響さんも隼も、しようとしている事は決して悪いことではないと理解してくれている。
要するに猿の親子はその餌が何日も不在になることが問題のような気がしてならない。
当然心配もあるであろう。
だけど、私たちを出すということが信頼をしているという証になる。