28才の初恋

3-5

 大樹クンが直接謝罪に行っても、何も状況は改善しないかも知れない。
 しかし、こういう場合は理屈ではない。
 行動することが何よりも大事なのだ。

 あまり良い意味では使われないが――何事も『勢い』が必要、ということだ。
 やるだけやってみた所で、それでもどうにもならなければ……その時はその時だ。
 次の手段を考えるだけだ。

 ともかく、最初の手は打った。
 ミスを犯してしまった大樹クンが最初の失点を回復できるかはまだ分からない。
 しかし、行動を起こしたことで――状況は何か変わるはずだ。

 これからは、行動によって変わる状況に対して次の手段を探っていくしかない。
 今の私に出来ることは……大樹クンを信じて待ってあげる事だ。

……それにしても。あの場に必要な行動だったとはいえ、思いっきり大樹クンを引っ叩いてしまった。

 うう……また『怖い女』だと思われたか。
< 140 / 518 >

この作品をシェア

pagetop