28才の初恋
 この時ばかりは――『は、裸見せちゃったんだ!!』と、頭の中が真っ白になってしまった。

 ややパニックになって、視線が宙を泳ぐ。
 前を見て、大樹クンに握られたままの自分の手を見て、真っ暗な窓の外を見て。

――すでに混乱の極みのような状態だ。

 大樹クンが言ってくれた言葉は嬉しいわ、でも裸を見せちゃったということが恥ずかしいわ……大樹クンに手を握られているわ。
 頭から煙が噴出しそうなほど顔が熱い!

 泳いでいる視線が、大樹クンの方に向く。
 大樹クンはこちらを見つめていて、視線がピッタリと合った……瞬間!

「ねっ?」

 私を見つめて、大樹クンが爽やかな笑顔で、私に確認するような声と表情を見せた……と、同時に。

――私の意識は天に昇って行ってしまった。
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