鬼上司と私のヒミツの関係

お昼になり、社員食堂に来ていた。

今日は寝坊してしまい、お弁当を作ることが出来なかった。

A定食のトレイを手にテーブル席へ座る。

食べようとして、いただきますと手を合わせた時。


「沙耶、営業の河野部長の噂、聞いてる?」

向かいの席に座っていた同期の花本優希が周りをキョロキョロしながらたずねてきた。


「噂って?」

手招きしてくるので、身を乗り出すようにすると私の耳元で驚きの言葉を口にした。


「昨日、河野部長と板倉さんがデートしてたんだって」

「デート?」

「そう。うちの部署の先輩が見たらしく、いい雰囲気で寄り添って歩いてたって」


えっ、何かの間違いじゃ……。
どうしても信じられなくて、必死にそれを否定したくなった。


「仕事で一緒に歩いてたんじゃないの?」

「じゃあ、仕事で肩を抱いて歩く?恋人とかじゃないとそんなのしないでしょ?」


願望を込めて言ってみたけど、それをあっさりと覆された。

優希の言葉がグサリと胸に刺さる。

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