鬼上司と私のヒミツの関係
「渡された伝票と自分の打ち込んだ内容とをチェックするのは常識だろうが。こんな基本的なことも分からないのか?お前は。仕事は遊びじゃないんだぞ」
森本がゴクッと唾をのみ、怯えてる様子が手に取るように分かるがここで止めることは出来ない。
「こんな間違いだらけの請求書を得意先に出してみろ。うちの信用はがた落ちだ。お前一人のせいで今まで積み上げてきたものが台無しになるんだぞ」
俺の言葉に森本はキュッと唇を噛む。
「今すぐやり直せ、一時間以内だ」
請求書の束をデスクに放り投げると、森本の目から涙が一粒ポロリと溢れ落ちた。
それを見て一瞬ドキッとした。
ちょっと言い過ぎたかな、と。
「すみませんでした。やり直してきます」
森本は、すぐさま手で涙を拭う。
そして散らばった請求書を拾い集め、頭を下げて自分のデスクに向かった。
周りから『あーあ、沙耶ちゃん可哀想に』と同情する声が聞こえたが、聞こえない振りをした。