鬼上司と私のヒミツの関係
「森本、オッケーだ。今度は最初からちゃんとやれよ」
さっきとはうって変わって優しい声に一気に緊張が解けた。
そして私を見てフッと笑う部長。
その顔を見ただけで胸がキュンと高鳴る。
って、今はそれどころじゃないでしょ!と、脳内が乙女モードになるのを必死に堪える。
「はいっ、すみませんでした」
勢いよく頭を下げると、私は自分の席には戻らずそのまま給湯室に足を向けた。
ヤバイ。
部長のあの顔はホントに反則だ。
部長はただ怖いだけじゃない。
ちゃんと優しさも持ち合わせていて、飴と鞭を上手く使い分けている。
そんなことされたら惹かれない訳がない。
ドクドクと激しく脈打つ心臓の音が耳障りだ。
シンクにもたれ気持ちを落ち着かせようと深呼吸した。
コーヒーでも淹れようと戸棚に手を伸ばした時、背後に人の気配が。
「沙耶さん、さっきは大丈夫でしたか?」
給湯室の入り口から気遣うようにひょっこりと顔を出したのは新入社員の小野くん。
私より一歳年下だ。
「大丈夫だよ、慣れてるから」