生徒だけど寮母やります!⁑





景が教室を出て隣の5組の前まで行くと、そこには呆然と立っているライの姿があった


「あ、ライくんだっ!どうしたの?」


5組の女子がライの存在に気づき黄色い声を上げる


しかしそんなことも気にならない様子で、ライは5組の中をじっと見ていた



どうしたんだろう?


景も気になって5組を覗くと、そこにあったのは予想もしない光景だった


「............!!」


数名の生徒会役員が、結斗に深々と頭を下げていたのだ


横にいたライが、横目で景を見る


「なんで......」

景がそう呟くと同時に生徒会役員たちは下げていた頭を上げて、そのうちの一人が口を開いた


「先日、男子寮Aで柳岡が市河くんに失礼な態度をとっていたんだ。見ているこちらからしても、とても理不尽なもので、ただ単に柳岡のイライラの矛先があたってしまったようなものだった」


あのときの......!

今喋っているのは、あのときヤナオカ先輩を止めてくれた生徒さんだ......


景はその時のことを思い出しながら、今喋っている生徒を見つめた


生徒会役員の数人が、景とライの存在に気づいて小さく頭を下げる


「やりすぎだと思ったけど、実際、俺らが伊吹くんにしてたことと変わらないと感じたんだ。

全ては生徒のためだと肯定して自分たちを正当化していたと思う。自分たちの非を認めず、作り上げて来た生徒会の自己中心的な雰囲気に呑まれてここまで来てしまった。

遅いかもしれないけど、謝らせてもらいたい」

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