生徒だけど寮母やります!⁑
「してますよー、一応魔術科です」


「魔術科......」

爽馬が呟く


でも、自分がシベリアンハスキー女だなんて言いたくないなぁ


ちょっとカッコ悪いし.....



そこで突然

「ねぇ、君たちはどんな能力の持ち主なの?」

結斗はそう言って、皆を見渡す


そして八重歯を見せつけるように

「俺はヴァンパイアだよ。よろしくね」

とニヤリと口の端を上げた


「うわ、よろしくねってどういう意味?血を吸う的な意味?」

咲夜は眉を潜めてから笑う


「ヴァンパイア.....!私、ヴァンパイアの方としゃべるのは初めてかも」

私が驚くと、結斗はいたずらに微笑んだ


「気をつけてね?食べられないように」

「え?」


彼は相変わらずフェミニストだ

その意味深な微笑みに、つい一瞬たじろいでしまう


なんか彼って掴めるような.....

掴めないような.....


「はいはいはい、お二人共次いいかな?」


次に口を開いたのは咲夜だった

「俺は一反木綿」

パーカーの袖をまくりながら、なぜか彼は誇らしげに言う


そんな彼を見て、一同は真顔で頷いた

「分かってた」
「分かってたよ」
「分かってましたよ」
「わかってるけど」



「えええ」


彼の名前『布川咲夜』

名前の中に布が入るあたり、一反木綿であることの予測は容易だが.....

心なしか落ち込む咲夜に景はクスリと笑った


続いて、爽馬が伏せ目がちに呟く


「僕は妖狐」


人形のように綺麗で透明な雰囲気の彼にぴったりの『妖狐』という言葉に、目がキラキラと輝いてしまう



「素敵ですね!妖狐方々は美人が多い印象があります」

「うんうん。俺の元カノも妖狐」

「そう」


結斗に対しての返答や表情は冷たいが

どうやら爽馬はそんなに悪い人ではないようだ


これから、彼とももっと会話ができるといいな.....

私はそう思い、微笑んで爽馬を見る


結斗も

「妖狐か.....かっこいいなぁ」

と彼を褒め、咲夜も

「妖狐すげえ!」

と囃し立てている


ライはそんな私たちを腕組みしながら見ていた


「あライ、お前なんなんだよ」

咲夜の質問に、若干の間を空け

彼はぽつりと答える


「......雷属性の魔法使い」

「へぇ.....」

結斗が驚いたように声を上げ、私も魔法使い姿の彼を想像してみた

魔法使いかぁ.....


その正体に、心なしか結斗は楽しそうだ


「へぇ、ライは魔法使いねぇ」

「オイ、バカにしてんだろ伊吹」

「いや?素敵だよね、景ちゃん?」

「う、うん!魔法使い素敵です!」


「てっめえら」


ライは私たちを睨むと指先からバチバチと電気を発生させる


「やだなぁ本当に素敵だって」


にこりと笑ってウインクする結斗

実際のところ、ヴァンパイアや妖狐よりも、練習や修行次第で使える術の幅が大きく広がる魔法使いはこの学校で優秀な評価を受けやすい

多くの生徒が憧れる花形能力だ


ライはギロリと結斗を睨むと、彼と対峙した形で向き合った


「ふ、2人とも.....」


伊吹結斗と火野ライ

この二人が絡むのは結構厄介かもしれない

そう思った景だった

< 7 / 388 >

この作品をシェア

pagetop