calling
010
ため息と一緒に手に持った
何かを受信した携帯電話を持って

静かに内容を確認した。

『また逢えるかな?
…今日のお礼したいんだ。』

すぅっと息を吸い込んで
ゆっくり吐いた。

『お礼だなんて…。
でも、私も逢いたいです。』

こんな…言葉…
大人な俊輔さんには
社交辞令とかに受け取られて

きっと忘れられてしまうだろう。

それでちょうどいい。

俊輔さんと恋人が
うまくいくことになったら
私は俊輔さんと逢えないから。

以前に戴いた名刺を
眺めて…そっとキスをした。

優しくて強いキスを思い出す。

私のこと…好きになって
くれるなんてことは無いのかな。

好きになってほしくなる。
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