僕らのはなし。①


「ハニー!何処行ってたんだよ。
捜したよ!!」
私が所在なさげにキョロキョロしてると、さっきまで女の人達に囲まれてたのがチラッと見えてた四宮さんがこっちに来て、何故か肩を組みながら移動した。

ちょっとその馴れ馴れしさや、その呼び方に私は引いてるけど。

着いたのは、伊崎や神崎さんが立っているテーブルの前。


「星野もお洒落すると可愛いね。」
「あぁ、この中でも一番可愛い。」
「そうですか?」
四宮さんと神崎さんにそう言ってもらえて、素直に嬉しい気持ちと照れがあり、それだけ答える。

別にこの2人に褒められたからじゃないけど。


「お前ら褒め過ぎだろ。
カボチャは線を書いたってスイカにはなんねぇぞ。」
「はぁ?」
「うわっ、珍しい。」
「んっ?何がですか?」
ムスッとした顔で伊崎が言った言葉にイラッとしたけど、神崎さんが発した言葉に不思議に思い聞いてみた。


「純はいつも難しい事を言おうとして間違ってるから。
しかも、無意識。」
「そうなんですか??」
「合ってる方が珍しいよ。」
「お前ら、いつ俺が間違えた??」
「「えっ、しょっちゅう。」」
伊崎の言葉に逆に2人があっけらかんと答え、本人の方が呆然とした。


そんな話をしてると、騒がしかった周りが急に静かになり、皆が一斉にある場所に視線を向けた。

そこにはマイクが立てられた台があって、その前には今日の主役である聖奈さんが立っていて、結城先輩も斜め後ろにいる。

これからどうやら聖奈さんが話すみたいなので、皆黙って聞く事に。


「今日は私の為にご多忙の中お越しいただき本当にありがとうございます。
皆様にお礼とご報告があって、柄にもなくパーティーを開きました。」
「何だろうな。
報告って。」
「遂に時雨と婚約したとか??」
聖奈さんの言葉を聞いて、四宮さんと神崎さんがそう言った。

内心それが本当なら、私の初恋はやっぱり叶いそうにないんだなってボンヤリ思いながらも、続きを聞く事に。


「私は来週パリに戻ります。
そして、もうここへは戻りません。
モデルの仕事も引退します。」
その言葉を聞いた会場は若干ザワつき出すが、聖奈さんは気にせず話を続けた。

「私は両親のお蔭で今まで何の努力をしなくても多くのものを得てきました。
これからは自分の力で新たに始めたいんです。
会社も継ぎません。
もっと広い世界で、人々ともっと多くの事を経験し、分かち合いたいんです。
こうでもしないと説得は難しかったので発表しました。
皆さん、どうぞお元気で。」
そう言って、聖奈さんは一礼した。

それを待っていたかのように、結城先輩が聖奈さんの腕をとるとあっという間に2人は会場から出てってしまった。

心配で先輩の顔を見たけど無表情で、それからは気持ちを読み取る事は出来なかった。


「時雨の奴は知ってたのか??」
「さぁ…。」
「その選択、凄い格好良いとはおもうけど、時雨はどうなるんだ??」
伊崎の質問に神崎さんが首を傾げ、四宮さんがそう言った。


私もそれが気になったので、まだ話してる3人を気にとめず、会場から出た。




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