僕らのはなし。①
ー純sideー
「フゥー。
よくやるよ、まったく。」
洗面台に座り、まだ熱い顔を手で扇ぎながらそう呟いた。
全く、自分でも自分が何やってんだか分からない。
だけど、さっき言った言葉は慰めたくて言った言葉じゃなく、本心だった。
時雨は…本当に聖奈より先に星野に出逢ってたら、違ったと思う。
アイツは自分では気づいてないけど、人を惹き付ける魅力があるから。
外見とか家柄とかそんなんじゃない。
上手く言えないけど、アイツの何かが俺を強く惹き付け、変えたんだ。
でも、外見も悪くない事を今日知った。
陣や新には貶すような事を言ったけど、アイツが女どもにやられて、時雨が真っ先に助けにいったのを見て、正直悔しかったし、聖奈がアイツを変身させて戻ってきた時、驚いて持ってた料理の乗った皿を落としたくらいだ。
普段あんまり化粧っ気がないけど…しっかりメイクして、着飾ると凄い綺麗で。
前にも見たけど、その時は喜ばなかったアイツ。
時雨がダンスに誘い、照れつつも嬉しそうで、あの時より一層輝いて見えた。
それにまた嫉妬したのは間違いなく俺。
その気持ちが俺に向けば良いのに。
そうはいかない現実。
幸せそうに時雨に寄り添い、踊るアイツを見続けられず、実は一旦会場から出た。
そして、頭を冷やし戻ったのに、新や陣に褒められ照れるアイツにまたちゃんと言ってやれなかった。
綺麗だって。
だから、さっき少しは助けになれてよかった。
らしくない事を言ったけど、ちゃんとした気持ちを初めてまともに伝えられたから、言葉とは裏腹にちょっと満足だった。
少し時間をかけ熱を冷ますと、トイレから出た。