僕らのはなし。①



ー純sideー

宿泊学習の代休明けの火曜日…俺はアイツが使ってるレッスン室の中で音楽を聴きながら待ってた。
星野の事を。

けど、なかなか待っても来なかった。

「チッ、アイツ特待生の癖してレッスンサボりやがって。」
「伊崎様」
特別棟から出た時に、女に名前を呼ばれた。

そっちを見てみると、女が3人出口の近くで立っていた。
正直誰かは知らない。

でも、そういう事はよくある。
相手は知ってるけど、俺は知らない。

「誰だ?」
「2年の鷺ノ宮です。」
「五條です。」
「倉野です。」
「で?」
「お話があります。
星野さんの事で。」
自己紹介の後、何か意味深な笑みを浮かべ、星野の名前を口にした女どもにとりあえず付き合う事にした。


「で、星野の事で話って?」
この時間、もう大体の生徒は帰っていて、誰もいないのでカフェラウンジに場所を移し、とりあえず適当に席に座りそう切り出した。

普段なら絶対放っておく。
気安く話し掛けて来ようもんなら、殴ってるだろう。
だけど、星野の話なら別。

だから、早く終わらせたくて早々に聞いたのだ。


「とりあえず…これ見てください。」
携帯をポケットから取り出し、何か操作すると、俺に差し出した。

見てみると、時雨がヴァイオリンを弾いていて弦が切れ、少し乱暴に置くと、星野がやって来て時雨の切れた弦で切った指を星野が手当てしている場面だった。

「昨日私達たまたま目撃しちゃって。」
「酷くないですか?」
「伊崎様たちに目をかけられてるって調子のって。」
「私達、こんな子がSJの仲を引っ掻き回すのが許せなくて。」
そんな事を言いながら、馴れ馴れしく俺の隣や後ろに身体を密着させるように座ったり立ったりしてる。

その間にも同じ映像が何回もリプレイされる。

無性に苛立ちが沸き上がってきて、黙って立ち上がりラウンジから出た。

そんな俺になおも引っ付くようについてくる女ども。
名前なんて覚える気はない。


「伊崎様、アイツを何とかされた方が。」
「このままじゃSJの皆様の仲にヒビが入るんじゃないかと。」
「私もそう思います。」
「チッ誰に意見してんだ?
今度くだらねぇ事で気安く声かけて来たらブッ飛ばすぞ!!」
そう言って奴等にさっき渡された鬱陶しい映像が流れる携帯を床に投げつけた。

壊れたようで破片が飛び散ってたが気にせず、苛立ちが収まらないままその場を後にした。





< 55 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop